2016年7月11日月曜日

おいらの家


前の犬が天国に行っちゃってから
父ちゃんと母ちゃんは、今の家にいつまで住もうかなって考えてたんだ。

おいらの家は、住宅街の一軒家。
一軒家は自分で家の管理を全部しなくちゃならないだろ?
これが結構大変なんだ。
毎月数回の草刈り、屋根の張替え、ペンキの塗り替え、雨漏りの修理
こういうことを全部自分でしなくちゃならない。

普通の人は業者さんにお願いするんだけど
これが高い上にアテにならない。
前金を払ったら業者が逃げちゃった、とか
もっと割のいい仕事にありついたから、工事途中で業者が来なくなっちゃった、とか
そういう話に事欠かない。
金額と工期が契約書通りに終わるなんてことは
日本では当たり前のことだけど、多民族国家カナダではそうそうない。

だから、うちでは家のメンテナンスは全部父ちゃんがやるんだ。
元大工の父ちゃんの仕事は、的確で丁寧だから、母ちゃんはすごく助かってるんだ。
去年は屋根瓦のシーリングをしてくれたし
その前の年は、雨漏りの補修と室内のペンキ塗りをしてくれた。

そんな器用な父ちゃんなんだけど、もうそろそろ気軽に高いところに登れる年ではなくなってきたんだよな。
おいらの家は、そろそろ築20年になるから、外壁の補修とペンキ塗りが必要なんだ。
近いうちに引っ越すのであれば、しなくていいけど
10年以上ここに住むなら、父ちゃんの体が動く今のうちにしておかなければならない。

父ちゃんと母ちゃんは考えた。
マンションみたいな集合住宅に住み替えたらどうなるか?って。

不動産が高騰している今なら、この家も高値で売れる。
固定資産税、維持費が安くなる。
掃除が楽になる。
草刈りも部屋の補修も管理組合がしてくれるから、生活そのものがとっても楽になる!
いいことずくめじゃん!

でも、1つだけ困ることがある。

それは、おいらだ。

散歩や用便の度にエレベーターで上り下りしなくちゃならないだろ?
今はまだ若いから、我慢もできるけど
おいらだって年取ったら、そうそう我慢もできなくなる。
歩けなくなったら、父ちゃんと母ちゃんがおいらの巨体を担いで1階まで運ぶことになる。
だからね、父ちゃんと母ちゃんとおいらが一緒に暮らしている間は
ずっとこの家に住むって決めたんだって。

おいらは生まれてから4ヶ月になるまで
あっちこっちをたらい回しにされてきたから
『自分の家』っていう概念がなかったんだ。
だけど、おいらは一生この家で父ちゃんと母ちゃんと暮らせるんだ!
ここはおいらの家なんだね!

おいら、すげー幸せ感じるよ。



ほら、父ちゃん!
ボヤボヤしてねーで
さっさとペンキ塗っちまえよ!




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