父ちゃんが釣りから帰ってきた!
父ちゃんの車の音が聞こえると、おいらは、もう堪らない。
ご飯を食べていようが、大好きな魚の干物を食べていようが
はたまた、おしっこしていようとも、おいらはガレージに駆けつける。
父ちゃんを一番に出迎えるのは、おいらでなくてはならない。
それが、GSの勤めってもんよ。
おいらは、タダで飯食ってるわけじゃないんだぜ。
ガレージのドアが開くと、いつも父ちゃんは、袋に入った魚を片手で持って
もう片方の手で、出迎えたおいらを撫でてくれるんだ。
でも、今日の父ちゃんは両手がふさがっていたんだ。
いつもおいらを撫でてくれる手には釣竿を持っていた。
「ほらほら、タロー、竿に触るなよ。」
父ちゃんが帰ってきて、興奮しているおいらに
そんなこと通用するかよー。
こんな竿、邪魔なんだよ!
おいらは竿に飛びかかった。
ぎゃん!
なんだよ、これ?
あっちこっち、チクチク痛いぞ!
「おい、おい、おい、タローやめてくれ!
竿が壊れる!」
そんなこと言ったって、動けば動くだけ痛いんだもん。
でも、動かずにはいられないほど痛いんだもん。
バキッ・・・
父ちゃんが凍った。
「竿が折れたじゃないかーーー!」
母ちゃんがびっくりして飛んできた。
「大丈夫!?」
「大丈夫じゃないよ。見てくれよ、この竿。」
「竿なんてどうでもいいわよ。
タローが大丈夫かどうか聞いてんの!
タローが飛びついてくるのわかってて、どうして針をプラプラさせて入って来るかなー。」
竿は無残だし、母ちゃんには叱られるしで
もう、父ちゃんピキピキ。
「お前の犬だからな!竿はお前が弁償してくれよ。」
「望むところじゃ!その代り、あんたの竿だからね。
タローが怪我したり、針を飲んで手術なんてことになったら
あんたが弁償しなさいよ!」
収支をよく考えて
再び凍る父ちゃん。
「全部お前が弁償せい!
俺もタローも、全部お前のもんじゃ!」
おいらの父ちゃん、時々天才。
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