運命の2015年11月24日

お初にお目にかかりますよ。

おいら、タロー。

まだ4ヶ月のGS（ジャーマンシェパード）。

ご覧の通り、すげーハンサムボーイ。

どーよ？

11月24日に今の父ちゃんと母ちゃんのところに来たんだけれど

まずはそこから約3ヶ月間に亘る格闘の日々を綴るね。

父ちゃんと母ちゃんに初めて会ったのは2015年11月19日。

おいらが保護されていたSPCA（動物虐待防止協会）に会いに来てくれたんだ。

アジア人のこの夫婦はおいらにすっごく優しくて

しかも母ちゃんは日本人だっていうじゃないか！

日本女性って大和撫子って言うんだろ？

体も小さいし、へ、へ、へ、ちょろいな、こりゃ。

それがおいらの母ちゃんに対するファーストインプレッション。

ハードモードで始まったおいらの人生

これで、ようやくイージーモードに突入だぜ！

11月23日に去勢手術を受けて、24日に父ちゃんと母ちゃんの子になったんだが・・・。

初日に母ちゃんと散歩に行ったんだ。

おいら、生まれて初めて飛行機ってやつを見たんだ。

飛行機がおいらの頭の上を飛んでいくのを首をのけぞらして見ていたら

そのまま後ろにコテンとひっくり返っちゃったんだ。

それを見て、母ちゃんが笑う、笑う。

「ひ～！カワイイ❤」

おー、この女、もうおいらにメロメロじゃん。

女は最初が肝心だって話だからな

ここで、どっちが上か教えとかなきゃイカンと思ったわけだ。

おいらは渾身の力を振り絞って、母ちゃんに飛びついたさ。

体の軽い母ちゃんは尻餅をついて仰向けに倒れたんだ。

機敏なおいらはすかさず母ちゃんに馬乗りになって

母ちゃんの顔に一発噛み付こうとした瞬間だった。

「へ？」

おいらの体が突然宙に浮いて

気がついたら、おいらと母ちゃんの位置が逆になっていたんだ。

母ちゃんがおいらに馬乗りになってるんだから、驚いたのなんのって！

しかも、母ちゃん、おいらのマズルを両手ですっぽりカバーして

「上等じゃん！

あたしゃ、アンタに噛み殺されたって絶対にアンタをいい子にしてみせるから覚悟しな！」

ずるいよ、母ちゃん。

大和撫子なんかじゃなくて、忍者じゃないか・・・。

なあ、母ちゃん

往来で犬に覆い被さる女って、ヤバくね？

こんな絵面を誰かに見られてさ、写メでも撮られて

SPCAに連絡されちゃったら、おいらを取り上げられちゃうよ。

そうしたら母ちゃん、困るだろ？

母ちゃんは不敵に笑って、こう言うんだ。

「困るのは母ちゃんじゃなくて、お前じゃないのかい？

母ちゃんは他の犬でもいいけど

お前に餌くれる母ちゃんはあたししかいないんだよ！」

この瞬間、おいらの夢のイージーモードライフがゲンジツという壁にぶち当たって

儚くも砕け散ったんだ。

当時おいらはまだ4ヶ月のパピーで、世間知らずだった。

日本の女が大人しい大和撫子だなんて都市伝説を、まだ信じていたんだ。

大人の階段を1段上がってしまった0歳の冬。

木枯らしが冷たかったね。

ぴゅるる～～～。

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