成長期は葛藤する 揺れる反抗心

Tonyのせいで不自由になっちまったはずの生活が

2、3日すると不思議なことに心地よくなってきたんだ。

おいら実はMなのか？

してはいけないことが分かるということは

しても良いこと

したら父ちゃんと母ちゃんが喜ぶことも分かるということで

なぜか、褒められることが多くなったんだよな。

おやつをゲットできるチャンスも増えたし

何と言っても、父ちゃんと母ちゃんの笑顔がおいらを安心させるんだ。

おいおい、おいらはワイルドでパンクなGSだぜ。

こんな志の低いことでどうする？

けどな、現実問題、餌を目の前にぶら下げられたら

やっぱ、言うこと聞いちゃうわけよ。

父ちゃんと母ちゃんの顔が曇ったら、笑ってほしいと思っちゃうわけよ。

現実って大事だろ？

更にこのTonyっつーのが、なかなか口の上手い奴で

この犬は相当頭いいね。

3回繰り返せば、何でも分かる。

なんて言われちゃったらよ

言うこと聞かなかったら、おいらがバカだってことになっちまうだろ？

すげー、プレッシャーだよ。

ってな訳で、おいらもそろそろ粋がったガキは卒業して

ジェントルなファミリーガイを目指してみようかな

なんて気になり始めた生後5ヶ月目の小春日和。

この家に来て、3週間が経った頃だった。

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