毎年、この時期のおいらの街は固定資産税の納付で慌ただしくなる。
前年7月の不動産の評価額に対して、翌年の7月1日カナダデー(カナダの建国記念日)の翌日までに収めることになっている。
今日、父ちゃんと母ちゃんは固定資産税の手続きのために市役所に行った。
空いている時間帯を見計らって午後2時頃に行ったんだけど、それでもこんなに人が並んでいる。
目的の支払カウンターまで約50m、50人くらい並んでた。
10分くらい並んだところで、母ちゃんはトイレに行きたくなっちゃったんだけど、自分の後ろを振り返ると、更に50人くらい並んでいて、「ダメだ、こりゃ」って思って続けて並ぶことにしたんだ。
ここに並んでいる人たちはみんな55歳以上の人たち。
固定資産税を支払うんじゃなくて、支払保留の手続きをするんだ。
カナダのBC州では、住宅用不動産所有者が55歳以上の場合、固定資産税支払いの保留ができる。
つまり、固定資産税を支払わないで繰り延べをするんだ。
不動産を売ったり、相続したり、所有権者が変わった時に繰り延べておいた税金を精算する。
繰り延べた金額には年利1%の税金が単利でかかっていくんだけど、バンクーバーエリアの不動産価格はここ10年来、年平均25%で上昇しているから、繰り延べた税金分以上を不動産が毎年自動的に稼ぎ出してくれるんだ。
この政策によって、BC州の老人は生きているうちに固定資産税分のお金を自分で有意義に使うことができる。
更に65歳以上になると、BC州に居住権を持っている人は無料で大学に通うことができる。
カナダの国立大学には受験がないから、受験勉強しなくても学びたい人は学べる制度になっているんだ。但し、授業を受けるに値する英語力を証明しないといけない。けど、その基準に達しない時は、英語の学校に無料で行くことができる。
自分で稼いだお金と残された時間を有意義に使う権利が、全ての居住者に認められているってすごいことだと思うんだ。
そして、年を取ると、全ての居住者が希望すれば公営老人ホームに入居できる。公営の場合は入居金はないし、ホームに支払う月間の費用は「当人の月間収入の50~80%」(介護の必要性の有無と程度で割合が決まる)となっているから、収入源が年金だけの場合でも、もらった年金以上の金額を支払わなければならない、なんてことはないんだ。
だから、おいらの周りのお爺ちゃん、お婆ちゃんたちはみんな明るくて元気だ。
生きていることが子どもたちの迷惑ならない社会制度の中で暮らしているからな。
年齢を言い訳にして、自分の限界を決めたりもしない。
90歳で大学に通うお婆ちゃんもいれば、酸素吸入器を付けた状態で電動車いすに乗ってカジノに通うお爺ちゃんも少なくない。
そして、そういう全力で楽しみ、全力で生き抜く老人たちを、白い目で見たり、馬鹿にしたりしないんだ。
カナダという国は、きっと世界の中でも地味な国なんじゃないかと思う。
軍事力や経済力でトップを目指そうなんて、さらさら思ってない。
だから誰も国の犠牲にならない。
だから誰もが国を大切に思う。
当たり前なのに、珍しい国だと思うんだ。
なんてな。
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