2018年7月7日土曜日

Mちゃんに会いたい


昨夜、ベッドに入ろうとしていた母ちゃんの目がニュースに釘付けになった。
母ちゃんの心にずっと引っ掛かっていた事件に一応の決着がついたんだ。
新天皇即位を目前にして、恩赦の対象になんかなったら大変なことだもんな。


母ちゃんには小学校2年生の時からの大親友がいる。
母ちゃんにとって、生涯で一番大切な友人。
だけど、その友人ともう20年以上音信不通になってるんだ。

小学2年次に同じクラスだったMちゃんは、屈託がなく、他人にも自分にもとても正直な、子どもらしい子どもだった。
勉強も運動もよくできて、あらゆる点で優等生。
ある新聞社主催の作文コンクールでも、書道コンクールでも、入賞の常連。
母ちゃんとはすっごく仲が良くて、いつも一緒に遊んでた。
母ちゃんは正義感が強くて、しっかり地に足がついているMちゃんを、子どもながらに尊敬してた。

そのMちゃんが、中学生の時に突然お父さんの実家の京都に引っ越したんだ。
その後も母ちゃんとは文通してて、その文通は母ちゃんが大学に入るまで続いてた。
優等生だったMちゃんだから、きっと京大なんかに行っちゃうんだろうなって思ってたんだけど、意外なことにMちゃんは大学に行かなかった。
ずっと文通してたのに、Mちゃんの置かれた境遇を母ちゃんは何も知らなかったんだ。


母ちゃんの大学時代はバブル全盛期。日本中が浮足立っていて、当時の大学生なんていうのは総じて世の中を舐めていた。
母ちゃんは弁護士になろうと思って法学部に入ったのに、入学して1ヶ月後には目標が『無事に卒業すること』に変わってた。就職事情も超売り手市場だったから、とにかく大学生活をエンジョイして、就活は4年になったら考えようって思ってた。
そんなあっぱらぱー女子大生だった母ちゃんと、芯から優等生だったMちゃんはどんどん文通の回数も減って疎遠になっていったんだ。

そんな2人が再会したのが、Mちゃんの結婚の直前。
久しぶりに会ったMちゃんは、母ちゃんよりずっとずっと大人になっていた。
母ちゃんが遊んで過ごしていた時期に、Mちゃんは家族を支えてたんだ。
彼女が高校を卒業する少し前に、お父さんとお母さんがオウム真理教に出家しちゃって、姉妹3人とお婆ちゃんが残されたんだよな。
その後教団が事件を起こしたことによって、お母さんが教団内の『行』の最中に亡くなり、お父さんは教団が起こした数々の事件の関係者になってしまったことを知らされたんだ。
彼女はマスコミに執拗に追いかけられ、職場も追われ、親戚にも縁を切られて、失意の中を生きてきた。


苦労した彼女も素敵な恋をして結婚するっていうことで、母ちゃんは本当に良かったって思ったんだ。
彼女の結婚式の当日、Mちゃんが母ちゃんに用意してくれた席は親族の席。
母ちゃんはMちゃんの親族代表としてスピーチさせてもらったんだよ。
だって、式に出席したMちゃんの親族はMちゃんのお姉さんと妹、おばさんだけだったんだもん。

その後、Mちゃんは子どもを産み、母ちゃんは仕事が忙しくなり、またまた疎遠になっちゃった。
カナダに来る前にMちゃんに連絡を取ろうとしたんだけど、最後にもらった年賀状に書いてあった住所には、もうMちゃんはいなかったんだ。

母ちゃんは、Mちゃんが大変な時に何もしてあげられなかったことが、年を取る度に重くのしかかってきて、謝りたいって思ってる。
そして、母ちゃんはMちゃんに「これからもずっとずっと友達でいてほしい」って伝えたいんだって。

麻原彰晃を始めとするオウム真理教7人の死刑が執行されたっていうニュースは、カナダでも大きく報道されて、母ちゃんの人生でやり残したことを思い出させてくれたみたいだ。
もし、おいらのこの記事を読んで、Mちゃんに心当たりがある人がいたら、是非教えてほしいんだ。









皆さんの1ポチが励みです。
にほんブログ村 犬ブログ 犬 海外生活へ
にほんブログ村
人気ブログランキング
当ブログはリンクフリーですが、無断転載および無断利用を固くお断りします。
All copyrights 2017 are reserved in Asunaro Taro


にほんブログ村 ブロトピ:ブロトピ投稿でアクセスアップ‼ ブロトピ:相互アクセスアップの仲間を探しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿