毎年、おいらの父ちゃんと母ちゃんは新年の第一月曜日に、母ちゃんの年齢から82歳までの仲良しのお友達8人とランチパーティーをすることにしているんだ。
父ちゃんと母ちゃんがカナダに来てから、これはずっと続いている恒例行事。
最初の数年は、おいらの家で中華料理の宴だった。
父ちゃんが毎回9品の料理を作って皆さんに振舞うんだ。
「9」っていう数字は中国語では「久」と同じ発音で、「幾久しくよろしくね」「いつまでも元気でね」「いつまでもお幸せに」そんな意味が含まれているんだ。新年にふさわしいだろ?
父ちゃんの料理は本当に料理人レベル。
皆さんから「街一番の中華料理だ!」って評判だったんだけど、大皿で出すんじゃなくて1品ずつコース料理のように出すから、父ちゃんは最初から最後までずっとキッチンに詰めっきり。それはどうにも申し訳ないんじゃないか?って声が上がって、3年前からはレストランで割り勘で飲茶をするようになったんだ。
でも本当はね、父ちゃんはキッチンにいる方が気が楽だったんだ。
みんないい人たちで、父ちゃんとも仲良しなんだけど、彼らは日本語も中国語もわからない。父ちゃんは英語がわからない。母ちゃんにいちいち訳してもらうと、面白い話の旬が逃げちゃって皆さんに申し訳ないだろ?だから、父ちゃんはキッチンに避難してたんだ。
中華料理っていうのは北米の人たちの間でも大人気で、みんな中華レストランで美味しいものを食べたいと思っているんだけど、メニューを見てもよくわからない。メニューには英語表記もちゃんとついているんだけど、中華料理の料理名はもちろん、材料、調味料、調理法は、欧米人には英語で言われてもちょっと理解不能。だから、中華料理レストランは、中華料理のことも中国語もわかっている人と行かないとなんとなく怖いと思っているんだよな。
だから、レストランの飲茶でも父ちゃんはテーブル専属のコンシェルジュとして大活躍。
毎年、楽しく新年を迎えてたんだ。
そして、来年も一緒に、その次の年も、そのまた次の年も、ずっと同じメンバーで同じようにできると思ってたんだ・・・。
今年も母ちゃんが皆さんに2018年1月8日のパーティーの召集をかけたんだ。
そしたら、リンダさんから今年は行けないって連絡があった。
重篤な心臓病で動けないんだって。
びっくりした母ちゃんはすぐにリンダさんのおうちにお見舞いに行ったんだけど、リンダさんには会えなかったんだ。ベッドから起きられないんだって。ご主人は「大丈夫」って言うんだけど、明らかに無理した「大丈夫」だったんだ。
リンダさんは音楽家で、他の人に言わせるとちょっと気難しい人らしいんだけど、おいらの父ちゃんと母ちゃんにはとても親切でいろいろとお世話になったんだ。
カナダの国の祝典で今も演奏される交響曲(母ちゃんは曲名がわからない><)はリンダが作曲したものなんだけど、なんと彼女が14歳の時の作品なんだって。
ちなみにこれはおいらが7ヶ月の時の作品ね
そのリンダさんからお見舞いのお礼のメールが届いたんだ。
私は自分で建てた家に50年も住むことができて幸せでした。
私はカナダで生きることができて幸せでした。
私は良い家族、良い友人に恵まれて幸せでした。
これはお礼のメールじゃなくて、遺書だよな。
リンダさん、おいらも父ちゃんも母ちゃんも、あなたに出会えてとても幸せだよ。
だから、病気を治してまたうちに遊びに来てほしいよ。
おいらは今年のサンタさんへのお願いはこれにするよ。
当ブログはリンクフリーですが、無断転載および無断利用を固くお断りします。
All copyrights 2017 are reserved in Asunaro Taro
にほんブログ村 ブロトピ:ブロトピ投稿でアクセスアップ‼ ブロトピ:相互アクセスアップの仲間を探しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿