2019年3月1日金曜日

美味しいワインができるまで 3 ガス抜き・発酵止め編


今までのワインの作り方の過去ログはこちら。

→ 美味しいワインができるまで 1 発酵準備編
→ 美味しいワインができるまで 2 発酵促進とフレーバー添加編


さーて、ワインを作り始めて本日で19日目。
比重も1.010~1.012になって発酵も終盤を迎えたな。
現在のアルコール度数は約12~13℃。
味もジュースというよりワインになってきたけど、まだ正直美味しいと言えるほどじゃない。

ここでガス抜きをするよ。
発酵容器からガラス瓶にサイフォンチューブを使って、上澄みを移す。
赤ワインにオークチップやその他フレーバーを添加していた場合は、この時点で取り除くよ。
ティーバックに入れて漬けておいたオークチップ

このガラス瓶(下記写真下)をカウボーイって言うんだよ。
ワインをカウボーイに移す時、出来るだけ勢いよく押し出して、カウボーイの中で噴射させるようにするんだ。
これがガス抜き。このガスは炭酸ガスね。


上澄みを全部カウボーイに移すと、元の発酵容器の下にはこんな澱が沈殿してる。
これはライフサイクルを終えた酵母なんだ。

厚みは下から約2cmっていうところだな

整腸剤やサプリメント、化粧品に活用できそうだけど、おいらの家ではこれを風呂に入れてワイン風呂にしてる。
すっごいポカポカになるんだって。

さて、ガス抜きをしたら、発酵を止めるよ。
これ以上アルコール度数が上がったら困るからね。

使用する食品添加剤

最初に入れるのが亜硫酸塩5g(上記写真中①)。長期保存と流通のための酸化防止剤および殺菌剤。これを50ccの冷水で溶いてワイン23ℓに投入する。
一口に亜硫酸塩と言っても5種類あって、ワイン用の亜硫酸塩は二酸化硫黄とピロ亜硫酸カリウム(メタ重亜硫酸カリウム)の2種類。
時々、オーガニックワインの紹介で、「うちのワインには亜硫酸塩は入っていません。二酸化硫黄で酸化防止しています。」と書いてあるものがあるけど、二酸化硫黄も立派に亜硫酸塩だよ。
どちらも過剰摂取には高い発癌性が疑われている劇物。
だけど、前回の記事にも書いたように、亜硫酸塩を使わずに現代のワインは作れないんだ。


『美味しんぼ』で山岡士郎が「ワインと豆腐には旅をさせるな」って言う場面があるんだ。
温度管理の問題だけでなく、ワインも豆腐も振動に弱いってことなんだ。
だけど、ブルゴーニュから船や飛行機に揺られて日本の流通ルートに乗って、店頭からみんなの食卓に並ぶまで、無振動って有り得ないだろ。
もっと言っちゃうと、ワインをボトルに詰める時の振動でも味はかなり落ちるんだ。
これをボトルショック現象って言うんだよ。
だから醸造所で飲むワインも、ボトルに詰めてから最低2週間は冷暗所で安置しておくんだ。
亜硫酸塩は振動による劣化防止、ボトルショック防止の役割も果たすんだ。


更にこの後、キーゼル水溶液②とキトサン③を入れる。
キーゼル水溶液は硫酸マグネシウムでにがりの主成分。キトサンはエビカニの殻から抽出される物質。
亜硫酸塩で殺菌した酵母をキーゼル水溶液とキトサンで結着させて沈殿させるんだ。
そうすると、ワインが透明に澄んできて、雑味もなくなるんだ。

次に既定の手順だとソルビン酸カリウム④を保存料として入れるんだけど、一連のワイン用食品添加物の中で最も毒性が高いものなんだ。うちは亜硫酸塩できちんと殺菌し、ワインクーラーできちんと温度管理してるから、これは必要ないと思ってるんだけど、一応ぶどうジュースのパッケージに入ってるから紹介はしておくね。
市販されているワインでも、温度管理がしっかりされているいわゆる『いいワイン』にはソルビン酸カリウムは入ってない。
食品流通で温度管理費用っていうのは、消費者の目に見えないのにかかる経費は馬鹿にならない、売り手側としては省きたいコストなんだ。そのコストカットに使う食品添加物がソルビン酸カリウム。

おいらの家のワインは自家消費用だから、流通を前提とした過剰な食品添加物は必要ないし、それが手作りの醍醐味かなって父ちゃんと母ちゃんは思ってる。


さて、ここから約3週間、このままカウボーイの中で寝かせておくよ。





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4 件のコメント:

  1. えたばりゅです(^^♪
    硫酸と聞くとちょっと構えてしまいますが、長い道程を乗り越えるには必要な処置なんですね(*´ω`*)
    確かに、例え貯蔵庫から台所にっていう時も無振動なんてありえないですもんね(^▽^;

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    1. ワインは昔からある食品なので、添加物を使用しなくても作れるのではないかと思ったのですが、どうも難しいようです(;´・ω・)
      添加物について知っておけば、お酒も飲み過ぎずに済むという利点もあるかもですね(^^♪

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  2. どこでもドアがあっても多少の振動は起きそうでもんね!!あともう少しだ・・どんな味のワインになるんだろう٩( ᐛ )و とりあえず私はワイン風呂に興味が深々です( ✧Д✧) カッ!!

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    1. 平安時代みたいに摺り足で運んでも多少は揺れちゃうもんね(笑)
      お店で買ってきた場合も、冷暗所で2週間くらい立てておいた方が美味しくなるんですって。
      よし、ビー玉さんが来たらワイン風呂ね(^^)/

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