2017年4月28日金曜日

犬が起こした奇跡~植村直己さんのアンナ


日本が世界に誇る冒険家、植村直己。


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晴れているとおいらの散歩コースからも見えるマッキンリー
その頂上を指さして、母ちゃんがいつも言うんだ。

あそこでね、植村さんはアンナちゃんと仲良く暮らしているんだよ。

植村さんって誰よ?
アンナちゃんって?

いつもおいらは不思議に思ってたんだ。

調べてみたら、びっくりじゃん!
世界で初めての五大陸最高峰登頂者だっていうじゃないか!
1人の人間がたった一度の生涯において
アジア大陸ーエベレスト
ヨーロッパ大陸ーモンブラン
アフリカ大陸ーキリマンジャロ
北米大陸ーマッキンリー
南米大陸ーアコンカグア
を制覇したんだ。
もっとあるぞ。
犬ぞりの北極圏単独行も世界初。
父ちゃんと母ちゃんの愛読書ナショナルジオグラフィックの表紙を日本人で初めて飾ったのもこの人だ。

この植村直己さんが1974年から76年にかけて
北極圏12000kmを犬ぞりで横断しようとした際のこと。
間の悪いことに、日本で同じく北極圏を横断しようとするチームがあって、優秀と言われる犬は皆そちらのチームに押さえられてしまったんだ。
それでも不屈の男、植村直己はなんとか12頭の犬を集めたんだ。
72年にグリーンランドで犬たちから大きな教訓を得ていた植村さんは

→ 犬と人間の間には深くて長い溝がある

頭数さえ揃えば、何とかできると思ったんだろうな。
犬たちを観察していた植村さんは、初め、一番気の強い犬をリーダーに据えたんだ。
けど、表面上強い犬が、リーダーとして相応しいとは限らない。
人間と同じく、内心反感を買っている場合もある。
犬たちは、点々バラバラに好き勝手な方向に走り出し、そりとしては全く前に進まない。
そこで、12頭の中で唯一のメスをリーダーに据えてみた。
唯一、どの犬とも喧嘩しない犬だったからだ。

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そうしたらなんと!そりが前へと進みだしたんだ!
植村さんはその時、その犬と卑弥呼が重なったんだって。
本来、家族ではなく使役関係にある犬の場合、余計な情を移さないために犬に名前は付けないんだけど、常に常識を覆す男、植村直己はこの犬にアンナという名前を付けたんだ。
そうこうしているうちに、手綱が犬たちの脚に絡み、それを外している最中に犬たちが逃げちゃった!
頼りにしていた卑弥呼のアンナも目の前から姿を消してしまった。
白クマに襲われたら、いくら世界のウエムラだって勝ち目はない。
氷が割れて、氷点下の水に沈むことだってある。
かと言って、ここで諦める植村さんでもない。
何しろ、この時新婚さんだからね。

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諦めるわけにはいかないよね。
自分でそりを押して、60km先の集落を目指したんだ。
犬12頭で曳いていたそりの重さは植村さんの体重を含めて推定300kg前後。
人が1人で曳ける重さじゃないよな。
ってか、普通はあぼーんだわな。間違いなく。

吹雪の中で心折れそうになっていた植村さんの目に何かが飛び込んできた。

アンナだった。
しかも、5頭の犬を引き連れて。
逃げたんじゃなくて、他の犬たちを連れ戻しに飛び出したんだ。
最終的にはほぼ全頭が戻って来てくれたんだって。

アンナに対する感謝の気持ちが絆となって、それを感じ取った他の犬たちとの関係も格段に良くなり、崖っぷちの状況が一転して植村直己を北極圏走破の夢に引き戻したんだ。

そして、驚くべきことに、この時アンナは妊娠していたんだ。
旅の途中で6匹の子犬を産み、5匹を村の人々に預けて1匹を手元に残したんだけど、残念ながらその子は半年後に北極にかかった美しい虹の橋を単独で渡って行ってしまったんだ。

その後、植村さんはホッキョクグマに襲われそうになる。
ライフルで威嚇しようとしたが、寒さと焦りで上手く弾が込められない。
あと3m、もう逃げられないかと思ったその時、アンナが自らの危険を顧みず吠えかかった。他の犬たちもアンナに続く。
犬たちに時間を稼いでもらい、ライフルでの威嚇に成功し危機を乗り切ったんだ。

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感想(81件)


1度ならず2度までも、植村さんの命を救ったアンナ。

何しろ厳しい状況下。
途中で、そりを曳く体力がなくなった犬は置いていかれる。
それはそのまま死を意味する。
12000kmを走破した時、12頭だった犬たちは9頭になっていた。
犬を置いていくことが堪らなかったと後に彼は語るんだけど、この辺になるとおいらの母ちゃんは怒り始める。
命を懸けて、たかが『冒険』(一応調査という名目だけど)に無理やり付き合わされた犬たちを弱った時に置いていくなら、電動カートで行けばいい。過酷な状況で体力の極限まで使い回される犬たちをケアできないなら、連れて行くな。世界が讃えようが、この部分だけは動物虐待に他ならない。北極圏を犬ぞりで走破しなくても、実は世の中の誰1人困らないのだから。だって。

身も蓋もない女、それがおいらの母ちゃん・・・。




けどね、やっぱり植村さん自身も心に残るものがあったらしく、冒険家業界(?)の掟を破って、4頭の犬を日本に連れて帰って来たんだ。
もちろんその中にはアンナもいて、日本最北端の動物園、旭山動物園に預けられた。マイナス20℃が生存適温の原種のハスキー犬にとっては日本で一番適した環境だろうと思う。
植村さんなりのアンナに対する感謝の表し方だったんだろうと思うよ。
その後アンナは、過酷な使役に耐えた犬とは思えないほど長生きして、1986年に16歳の生涯を閉じたんだ。

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その2年前に植村さんはマッキンリーで消息を絶っているから、アンナの魂はマッキンリーで植村さんと甘美で幸せな永遠の時間を堪能しているんだろうな。

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