2017年4月1日土曜日

寛容な社会


父ちゃんと母ちゃんはあちこちにおいらを連れて行く。
たくさんの人と犬に関わらせようとする。
これはおいらの社会化訓練っていうんだって。
おいらも新鮮な刺激が嬉しくて、どこにでも喜んで着いて行く。
新しい場所や出会いが、おいらの世界をどんどん広くしてくれる気がするんだ。



でもね、おいらがあちこち連れて行ってもらえるようになるまでには
本当にいろんなことがあったんだ。

父ちゃんと母ちゃんの言うことなんかまるで聞かなかったおいら。
人を見ると飛びついて押し倒そうとするし
犬を見ると興奮して攻撃するし
齧れるものは何でも齧る。
どこに連れて行ってもらっても
みんな迷惑そうな顔して、誰もおいらと遊んでくれなかった。


一期一会の愛しい命のために


人間だって犬だって、社会に溶け込むまでの一定期間はみんな親に迷惑かけるよな。
成長途中の赤ちゃんや子犬に迷惑そうな顔する人だって
同じような時代が必ずあったはずなんだ。
泣かない赤ちゃんはいないし
かじかじしない犬もいない。
でも、その段階を過ぎると、忘れちゃうんだよな。
自分もその段階を経て現在に至ったってことを。
だから、泣いている赤ちゃんと親に不快な顔を向けたり
社会化訓練中の犬と飼い主をバカ呼ばわりしちゃうんだ。
そして、社会はどんどん不寛容になっていく。
その人たちが老人と言われる年齢になった時に
無用な非生産者扱いされる社会を自らが作っていることに気がつかない。



ところがね!
オリックス生命保険がいいことを考えてくれたんだ。

「#泣くのが仕事」プロジェクト

泣いている赤ちゃんと周囲に申し訳なくて困っているパパとママのために
「赤ちゃんは泣くのが仕事だから大丈夫」っていうステッカーを見せるんだ。
こんなの見せられたら、パパやママの方が泣いちゃうかもな。

ステッカーはここからダウンロードできるんだって。

赤ちゃんの泣き声に不寛容なのは日本だけじゃないんだ。
カナダでも電車の中で赤ちゃんが泣くと乗客たちは顔を見合わせるし
ドイツのある航空会社では、赤ちゃんにアスピリンを勧めるらしい。
そんな社会でどうやって少子化を解決していくんだよ?

次の世代が健全に成長して、健全な社会を作っていくには
寛容な土壌が必要なんじゃないかとおいらは思うんだけどな。


でも、おいらはこのステッカーを権利だと思い違いする親や
犬が迷惑かけて当たり前だと勘違いする飼い主には容赦しねーぞ。





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