バンクーバーわんわんマミーズ連絡網で回って来た話だ。
バンクーバーエリアで最も評判のいい獣医の1人であるDr. Dobiasの愛犬Skaiが亡くなった。
日々、動物の命と向き合ってきた獣医でさえ、それを職業としている人でさえ、おいらたちの最期の時を人間がどうするかっていう問題は苦しいものなんだな。
原文はここ
状況をちょっと説明しておくと、ノースバンクーバーの獣医師Dr. Dobiasが愛犬Skaiを連れてノルウェイに行く途中、どこかの空港でSkaiがポーターの振り回した荷物にひっぱたかれ頸椎を損傷する。Dr. DobiasはSkaiを連れて一旦自宅に戻るが、仕事でまた1人でノルウェイに行く。その間にSkaiの具合は悪くなり、最後の決断をするためにバンクーバーに帰ってくる途中の機内で愛犬に宛てて書いた手紙らしい。
僕の最愛の友へ
今日は途方もない日だ。犬を愛する者たちにとって、自分の死より恐ろしい日だ。
僕は昨夜はほとんど眠れなかったよ。せいぜい2時間くらいかな。仕事のお陰で僕は9タイムゾーン君から離れたところにいる。君がいなくなるということがこんな辛いことだなんて思いもしなかったよ。多分、わかっていたんだろうけど、気づかないふりをしていたんだ。
怪我が君から多くのものを奪っていった。君は16歳。通常の寿命は8歳だから2生分生きたね。人間でいうと112歳。君のような大型犬だと相当の年だ。でも君はとても元気だったから、僕はそんなことを忘れていたんだ。君は毛ヅヤもよく、グレイヘアー(人間でいう白髪)もそんなになかったし、先週君を診てくれた神経科医だって君の立派な歯に舌を巻いていたじゃないか。
神経科医のニックおじさんのところで、君の首の椎間板の損傷はかなり深刻だと言われた時、僕はもっとちゃんと診察のヒントを提示するべきだったんだけど、あの時の僕は獣医じゃなかった。子どもが遠くに行っちゃうのを見たくないただの父親だった。君が行くところは学校とか旅行とか、そんな楽しいところではないからね。
2週間前、ポーターが重たいスーツケースを君の頭にぶつけた時、それでも君は勇敢にも大丈夫だと示そうとした。でも僕は君を連れて帰らざるを得なかった。 Westjet(カナダの航空会社)の人たちは素晴らしかった。僕たちを飛行機に乗せてくれて、到着した時に君の様子を見に来てくれた犬好きのスタッフがいたね。でも君の眼の光はどんどん遠のいていったっけ。やっぱり君の年齢と状態を考えると手術という選択肢はないよね。僕は君にそんな辛い思いをしてほしくなかったんだ。君は苦しむべきじゃないんだ。僕のためじゃない、君のために。
心の中では望んでいたよ。いつものように飛び跳ねる君、勇敢で輝いていて、元気いっぱいの君に戻ってほしいって。君はいつだって、他の誰かを気にかけて心配してあげてたよね。いつだって君は問いかけてくれていた。「どうしたの?手伝ってあげようか?他にしてほしいことは?」望めばいつだってすっ飛んで来てくれる。それが君だ、スカイ。ボーダーコリーの君の心は犬ではなくもはや人間だった。
初めて君に会った時、君は骨を咥えて君の兄弟たちを威嚇してたね。「これは僕のものだよ」と主張してた。だけど僕と目が合った途端、君は骨になんか目もくれず、僕のところに挨拶に来てくれたっけ。これが僕たちの始まりだったね。
そう、君が生まれたところの人たちにこう言われたよ。「この犬は攻撃的だからよした方がいい」って。でも間違ってたのはその人たちだった。僕がするべきことは、君のために骨を2本買い、食べ物はいつだって十分にあるよと君に教えてあげることだった。
時が経ち、君は禅僧のような犬になり、僕たちの誇りであり、喜びであり、本当に最高の友達になった。時間が経つにつれ、君は僕にたくさんのことを教えてくれるようになったんだ。数多の人たちが愛犬という親友をどうやってケアしてあげたらいいかってことをね。君は本当に大使のような犬だったね。僕はそんな君の影として寄り添うことができてとてもとても幸せだったよ。君は僕の星で、僕は君のパパだった。
そう言えば、君は本当に女の子が好きだったよな!ビーチでも公園でも女の子の周りをくるくる回って跪くんだ。女の子って奴は男に跪かれるのが好きな生き物だからな。君はよくそれを心得ていたよね。成功率は限りなく100%に近かったっけ。
それから、君は初めてのところでもきっちり寝られる奴だったよな。みんなが羨ましがる特技だよ!
それと、あのラブラドールとゴールデンレトリバーは挑発的だったよな。まるでイタリア人みたいだったよな。声がデカくて、うるさくて、親切なんだよな。君はちょっとうんざりしてたよな。
君は本当にマナーとエチケットができた犬だったよな。やっぱり、ご先祖はイギリス人だけのことはあるな。みんなが僕に言ってたよ。「こんなにお行儀が良くて躾の行き届いた犬は見たことがない」って。実際僕もそう思う。君は僕のガイドで保護者で、夢遊病者だった僕は君に助けられたっけ。そうなんだ、僕は子どもの頃から夢遊病だったんだ。僕が獣医になるための学校に行っていた時、ガラス戸を突き抜けようとして死にかけたことがある。だけど、君が僕の許に来てくれてから、僕は本当に安心できたんだ。君は僕の保護者で、僕は君の保護者だった。
君は冒険好きだったよね!一緒に随分冒険したっけ。もう、ほとんど本が一冊書けちゃうくらい。マイルを全部現金化して、ファーストクラスで君とパリに行った時のことを覚えてる?君はサービスドッグとしてキャビンで過ごすことができて、なんと!専用の枕もあったよね!あの時さ、犬がキャビンにいるって言って喚き散らしてたおばさんがいたよね。もし、僕が飛行機を持っていたら、犬はみんなファーストクラスで、犬嫌いのやつらは全員貨物として飛ばしてやるんだけどな。
僕のおかしな夢が叶っていくのを見ているのはとても楽しかったよ。君はエッフェル塔の周りを駆け回るのが好きだったね。ルーブルのピラミッドもだ。君を公園の女性像の前に置いて写真を撮ったのを覚えてる?君は笑ってて、ヘンなことしてるってわかってるみたいだった。あの写真は僕のお気に入りの1枚だ。
僕が仕事で燃え尽きそうになっていた時、君が教えてくれたんだ。ヨガをして、自然と戯れ、冬の時期をマウイで過ごす。もっとバランスのいい人生を生きなくちゃいけないって。僕は公園でヨガをするのが好きだった。君が寝たり、ウサギを追いかけたりするのを眺められたからね。
僕が最初に君をハワイに連れて行ったのは、確かオアフだったね。ビーチの水が温かかった。君が僕に教えてくれたんだ。人生に不可能はないって。その時、君は7歳だった。
まだ君が子犬の頃、僕は君は僕を愛していないんじゃないかと思ってたんだ。だって君は誰とでも冒険に出掛けたがってたからね。でもある日、僕たちが湖に行った時のこと。みんなが君を甘い言葉で水の中に誘ったけど、君は誰にもついていかなかったね。ところが僕が水に飛び込むと、君もすぐに水に入って僕を救助しようとしたんだ。僕の泳ぎが溺れているように見えたのかい?
君の妹のペギーだけど、僕たちのいい仲間だったよな。君は知ってたかな?もともと僕はペギーを選んでいたんだ。だけど、彼女は僕から逃げたんだ。明らかに計画的だった。彼女は僕に君を置いていくようなことはしてほしくなかったんだな。あの時、僕が君を置いていってたらどうなっていただろうか?って、君は考えたことはあるかい?僕は想像できないよ。つまり、そういうことなんだよ。
毎週自分の兄弟犬に会える犬ってなかなかいないぜ。僕も兄弟と会うのが好きだから、君がどんなにペギーと一緒にいたいか、そして一緒に泊まりたいのか、よくわかるよ。
もっともっと僕たちの冒険について書きたいよ。書き続けたいよ。そして心から叫びたい。だって、今日の僕は本当に辛いんだ。実際、僕の人生にもそれなりに辛いことはあったけど、こんなに辛いことは正直初めてだよ。
そして電話が鳴ったんだ。君の状態が良くないってことだ。僕が一番恐れていた電話。君の目が言ってた。「もう、行かせてほしい」。君が食べなくなって、歩かなくなって3日が過ぎた。君はうちに帰りたかったんだね。
最速で君の元に行けるよう、僕は3時間を費やして航空券を探した。面白いことに、君が怪我した時に家まで運んでくれた航空会社の飛行機で僕は君の元に行こうとしているんだ。
今行くよ。君は待っててくれるよね。最大の愛の表現とは、誰かが行かせてほしいと願った時に、それが自分にとっていかに苦しくても行かせてあげることなんだって。僕は英断を下さなければならない。君に安楽死をさせるんだろう。そして、僕はもっと辛くなる。もう、今日は何度も泣いた。空港まで行く途中にも、人目もはばからず泣くのだろう。君を楽にするために僕は帰るよ。誰かに心臓をえぐられるような気分だ。
僕は君を行かせたくない。でも、僕にはわかるんだ。行かせてあげることが最大の愛なんだって。
僕は君を抱きしめ、君にキスして、君に寄り添う。そして行かせてあげるんだ。僕は君を愛しているから。
僕は飛行機の中で、痛みを和らげるため、君に寄り添うためにこの手紙を書きながら、時が過ぎるのを待っている。
なあ、望めばすっ飛んで来てくれるスカイ、君のお陰で僕の人生は素晴らしかった。君が僕に教えてくれたんだ。どうしたらもっといい獣医になれるのか?どうしたらもっといい人間になれるのか?人生の最大の目的は他者を助け、家族や友人と一緒に過ごすことなんだって。
だから、僕がバンクーバーに着いたら、僕たちは何の制限をも受けない永遠の子どもになろう。そうすれば、僕たちの世界から君が去っていくことなんかないんだ。多くの人たちがそうしてきたように、僕ももうちょっと頑張るよ。あまりに長く頑張らなきゃならない人もたくさん見てきたけどね。走るのが大好きだった君が歩けなくなって、食べなくなって、僕は君にこれ以上苦しんでほしくないんだ。行かせてって君は言ってるんだよね。
僕は今とても怖いんだ。でも、僕は強くなくちゃならない。獣医だから、僕だってそりゃあたくさんの悲しい場面を見てきたさ。だけど同時に学んだんだ。最大の愛は君を行かせてあげることだって。例え僕の心が地獄の炎で焼かれるように苦しくても。
スカイ、ちょっと待ってておくれ。僕はすぐに行くから。
追記: 僕は2017年5月17日(水)午後1時にバンクーバーに着きました。僕が家に着いた時スカイは彼のお気に入りのソファで枕にもたれて待っていてくれました。(彼は枕が好きでした)。僕たちはそのまま何時間か一緒に過ごし、彼は愛する人たちに看取られて太平洋時間午後4時30分、カナダ、ノースバンクーバーの自宅で息を引き取りました。
僕たち家族の心はへし折れていて、彼を失ったことから立ち直るにはまだまだ時間がかかることでしょう。
僕の家族も僕も、応援してくれる皆さん、励ましてくれる皆さんに感謝しています。
僕は必ずや、皆さんと犬たちのためにできるだけ早く皆さんの元へ戻ります。
愛と感謝を込めて。
Dr. D
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